black snow
[ 中1 ]
――カンカンカンカンカン・・・
朝からおたまでフライパンを叩く、鉄の音が響きます。
「起きて! 朝だよー!!」
カンカン・・とその騒音を出したまま、
少女の美しい声はそれに負けないくらい大きく響きます。
その音にも小悪魔たちは起きるどころか、
迷惑そうに、さらに布団にもぐってしまい、少女を苛立たせてしまいました。
「起きんかい!! 朝だって言ってるでしょ!! メシ抜きにされたいの!!?」
(※やや規制してます。)
少女がフライパンで壁を殴ると、そこはガラガラと崩れていきました。
少女に家を壊されてはたまらないので、
先に仕事へ行った賢い1匹以外の小悪魔は、やむを得ず起床します。
「とっとと食ってよ!!」
「ういー。」
小さな悪魔たちは、ガラの悪い輩かのように、ダルそうに返事をしました。
「仕事がんばってねー。」
少女は裏がありそうな顔で言いました。
「・・・・・。」
言葉は遣いは悪いですが、ちゃんと食事を作ってくれて、
しかも美味しいので、実は皆慕っていたのでした。
♪
7匹(?)の小悪魔たちは、つるはしで陽気に鉱山を削っています。
「ホイホー。ホイホー。しーごーっとがっすっきぃー♪」
「うるせぇ!!! 歌うんじゃねぇ!! 気が散るだろ!」
6匹が歌いだすと、リーダーは機嫌悪そうに怒鳴りました。
「・・・・・・。」
「ホイホー。ホイホー。しーごーっときっらっいぃー♪」
歌詞を替えつつも、6匹は歌うのをやめませんでした。
もちろんつるはしで鉱山を削るのも。
「けっ! やってられねぇ!!」
とうとうリーダーは洞くつから飛び出ると、どこかの空へ飛んでいってしまいました。
何匹かは、あーあ、と少し言ってまた歌いだしましたが、
もう何匹かはいつものこと、という風に気にも留めず作業を続けました。
「あー。仕事が好きなのか嫌いなのかよくわかんねぇ・・・。」
空に浮かんで、リーダーはひとりごちています。
そうだ、となんとなくリーダーは思いつき、
なにやら、自分の小屋のあるほうを目指して飛んでいきました。
リーダーははっとしました。
小屋がある辺りが見えて来たのですが、なぜか小屋の上の天気がおかしいのです。
ただでさえ薄気味の悪い色をしているのに、そこだけ、
赤やら紫やらの混じった目の痛くなるような色で、しかも渦を巻いています。
それは小屋のほうへ向かっていきました。
リーダーは直感で、何か胸騒ぎがしたので、小屋のほうへ急いで向かいました。
それでも小悪魔だから、あまり飛ぶとくらくらしますが。
「おい。お前。何しに来たんだ!」
わずかにおぼつかない足で小屋の所へ行くと、そこには、
目つきの悪い、高貴そうな服を来た、悪魔の男が小屋を覗いていました。
「・・なんだ。お前か。小悪魔のリーダーさんよぉ。」
何か嫌な感じのする男に、リーダーは嫌悪感を覚えました。
「そうだ。俺がこの小屋の持ち主だ。何か用か?」
「姫をかくまってくれてるそうで。どうもありがてぇこった。」
2人(?)は睨み合います。
「へっ。こわくねぇなぁ。チビッコ。よくあんなクソガキの子守をする気になったな。
・・ああ。そうか。子守して貰ってるんだったっけなぁ?」
リーダーは、冷静を失いました。
「てめぇ! それ以上言うと・・・!!」
「・・それ以上言うと・・・? なんだ?」
男はよりいっそう目を細めます。
「魔法も使えねぇ。ちょっと飛んだだけでくらくらする。お前に何ができる?」
「・・・・・。」
男は何も言い返せないリーダーを覗き込むように見ます。
男の膝くらいの高さなので、見下すようですが。
「なんだぁ? やっぱり何もできねぇよなぁ。鉱山ほじくるしか能がないもんなぁ。」
男は挑発するように言ってきます。
「・・るせぇ。俺らはお前らなんかより生きてるって感じなんだよ。
お前らみたいに皇族にごますらなくても生きてけるんだよ。」
「おぉ、怖ぇ。遂に反抗出来たな。そんなに無理して見上げるなって。」
男は、イヤミかのように、片膝を地面につけてかがんできました。
「お前はチビだから教えてやるよ。」
男は意味もないのに手を口に添えてコソコソと言ってきました。
「オレはなぁ。姫を殺せと言われてきたんだ。それも継母さんによ。」
「何?」
リーダーは男を睨みながら、小さな手で胸倉を掴みました。
しかし、すぐさま男に突き飛ばされてしまいました。
「おいおい。汚い手でさわるなよ。お前がオレを殺せたら姫を殺さねぇがな。」
リーダーは、足で押さえられ、見下されました。
「ぐ・・、お・・重い・・だろ・・が。」
男はすぐに足をどけましたが。
リーダーは大ダメージを食らって起き上がれませんでした。
「・・・姫を殺すのは・・俺だ。お前なんかに殺させねぇ。」
「あぁ? なんか言ったか? 聞こえねぇなぁ。
どうせ殺すならオレが殺しといてやるよ。お前には無理ってもんだ。」
男の足は、小屋へ向かいました。
「おい! 俺を倒してからにしろ!!」
男は、目だけ向けてきました。
「やだねぇ。弱いもの苛めは嫌いだからな。」
(弱・・い・・・もの?)
男は小屋のドアノブに目を戻しますが、リーダーのほうを向かざるを得なくなりました。
リーダーの体が光って――・・