聖者ナイトメア
聖者Knightmare(ナイトメア) Story One





彼は生涯一人だけ、人を愛したのだという。

そしてその人にだけ、自分の存在を伝えた。

自分の記憶を残した。

その人はひたすら、彼の存在を誰かに信じてもらおうと、叫んだ。

世界に呼びかけた。

・・しかしそれを信じる人はいなかった。

一人として、彼女の味方をする人はいなかった。

皆に罵られ、世界から“嘘吐き”と呼ばれるようになった。

傷ついて、ボロボロになって。

それでも“彼女”は彼を信じ続け、

本当の、”真実である嘘”を世界に伝え続けた。


そして、孤独になってしまったその人の目の前に、彼は再び現れた。

そこで二人は涙を流しながら抱擁し合った。

彼は初めて誰かのために涙を流せた。

初めて誰かを本当に愛しいと思えた。

でもそれは、彼にとって最後だったという。


そして彼は、彼女が伝えた“嘘”や、彼女の記憶、全ての自分への記憶を消したという。

彼女がどれだけそれを望んでいないか知っていたのに。

彼女がどれだけ自分のことを愛し、信じてくれていたか、わかっていたのに。


・・彼女が、自分の存在を生み出していたというのに。


それから2人は、それぞれの道を、自分の道を、別々に歩んでいったのだという。






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